色彩史 6
バラはやはりバラで、あくまでバラであり、しかもバラであり、結局バラなのだ。
――ガートルード・スタイン
アメリカの知識人たちが好んで引用する女流作家ガートルード・スタインの右の名文句は、どんな名で呼ばれようと、バラはバラであることに変りはないといっているのです。
彼女は、アメリカ人としては、おそらくピカソの天才を発見した最初の人物のひとりであり、そして、まだ無名の貧乏画家だったピカソを支援した初期のコレクターのひとりでもあったということで、彼女のこの言葉は、それなりの説得力をもっています。
ピカソも、いかにも青年期の彼らしい力強い表現で、当時のガートルード・スタインの肖像を描いています。
ある人がこの作品を見て、あまりモデルに似ていないといったら、彼は
「そのうちに彼女のほうが似てくるさ」
・・・と答えたというエピソードが伝えられています。
その作品はいま、ニューヨークのメトロポリタン美術館にあります。
どんな名前で呼ばれようと、色は結局色です。
赤はあくまで赤であり、青はやはり青なのです。