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2010年12月 アーカイブ

色彩史 3

メルツとポールの色彩辞典には、3000語を超える色名が収録されていて、それぞれの色名について初出文献の年代が紹介されています。


その中、万葉集の時代に相当する8世紀頃にすでに使われていた色名は、さんざしの「ホゥ」と「グラスグリーン」を除けば、レッド、イエロー、グリーン、グレーなどの基本色名だけで、全体のわずか0.2%を占めるにすぎません。


平安朝の頃の10世紀から11世紀頃に出現した色名も0.5%程度です。


チョーサーが『カンタベリー物語』を書いた14世紀になって、やっと全色名の2.4%の色名が文献に登場するようになり、16世紀から17世紀にかけて、飛躍的に色名の数が増加しています。


この時代に13.2%の色名が創作されています。


つまりシェイクスピアの活躍期の前後です。


そして、この色彩辞典の81.4%の色名は、18世紀以後にはじめて定着するにいたった色名なのです。


このような色名の発生と発達について、日本と英語圏の国ではまったく別の過程を辿っています。


それはおそらく、彼我の色彩文化の本質となんらかの関わりがあるに違いないでしょう。

色彩史 4

20世紀になると、どこの工業国でも、色の呼び方や色の記録方法に苦労するようになった事情は同じでした。


そのためにカラーシステムが実用化され、一方ではすべての色を、修飾語と基本色名で表す系統色名法が考え出されました。


しかし、英語やフランス語の色の修飾語がきちんと定められているのに比べると、日本語の色に関する修飾語は、目下のところある種の選択を迫られているといえるでしょう。


日本特有の色彩文化を重視すれば、淡、薄、浅、深、濃、若、老、鈍、鼠などの伝統的な修飾語の生かし方も考えなくてはなりませんし、もっと単純で規則的な修飾法・・・


たとえば、明るい、暗いなどの反対語に、やや、かなり、非常に、などの程度を表す修飾語をつけて、やや明るい赤、かなり暗い青などという呼び方にすることも考えられます。


それとも、そっくり英語にしてしまうということもひとつの選択であり、事実、英語の系統色名法はすでに日本色彩研究所でも活用されています。

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