色彩史 3
メルツとポールの色彩辞典には、3000語を超える色名が収録されていて、それぞれの色名について初出文献の年代が紹介されています。
その中、万葉集の時代に相当する8世紀頃にすでに使われていた色名は、さんざしの「ホゥ」と「グラスグリーン」を除けば、レッド、イエロー、グリーン、グレーなどの基本色名だけで、全体のわずか0.2%を占めるにすぎません。
平安朝の頃の10世紀から11世紀頃に出現した色名も0.5%程度です。
チョーサーが『カンタベリー物語』を書いた14世紀になって、やっと全色名の2.4%の色名が文献に登場するようになり、16世紀から17世紀にかけて、飛躍的に色名の数が増加しています。
この時代に13.2%の色名が創作されています。
つまりシェイクスピアの活躍期の前後です。
そして、この色彩辞典の81.4%の色名は、18世紀以後にはじめて定着するにいたった色名なのです。
このような色名の発生と発達について、日本と英語圏の国ではまったく別の過程を辿っています。
それはおそらく、彼我の色彩文化の本質となんらかの関わりがあるに違いないでしょう。