色彩史 5
味や色のような実感を表す言葉は、レネバーグがこれらを経験の言語と呼んでいるように、文化や風土の基本的な経験の違いによって、どうしても違ったものになります。
所詮、英語風日本語になりがちで、そのまま英米人に通用するという保証はありません。
地名のような固有名詞が、行政上の合理化を名目として、改変されたり失われたりしていくことに、かなりの反対意見や反対運動があり、地名保存のための団体も発足しています。
しかし、色名は固有名詞とはいえないので、その運命についてはあまり関心がもたれていません。
色名もまた伝統文化の化石であることでは地名と変るところはありません。
ただ、地名よりもっと実用的な日常語なので、どうしても便利で安易な方向に流れて行きます。
色と色名の使われ方の現状は、結局、戦後の日本社会の混乱や矛盾の縮図のようにも思われますし、日本語や、日本人の生活文化の明日の運命を予告しているようにも見えます。
色について語ることは、誠に際限がなく、色と色名に関する問題だけでも、他にどのようにでもとり上げようがあるはずでしょう。